Clouds Rest〜雲の上で

ヤフブロから移行(旧ハンドル:いぬどし)。 基本登山を中心とした山行記録、ギアなどの話。そのほか雑多な記事を書きます。

カテゴリ: 漫画書庫(コミック)

陽だまりの樹


手塚治虫
小学館文庫(全8巻)

手塚治虫長編漫画の代表作

ストーリー
タイトルの「陽だまりの樹」は、水戸学の弁証家である藤田東湖が劇中で主人公の伊武谷万二郎へ語る日本の姿である。19世紀後半、欧米が市場を求めてアジアへ進出した世界状況で、日本の安全保障を確保するには天皇の権威を背景に江戸幕府を中心とする体制再編により国体強化が必要であるとした東湖だが、幕府の内部は慣習に囚われた門閥で占められて倒れかけているとして、これを「陽だまりの樹」と呼ぶ。
閉塞状況を打開するものは青年の行動力以外にないと謳いあげた東湖のアジテーションは憂国世代の心を大きく揺さぶる。関東小藩の藩士であった伊武谷万二郎の胸にも熱い思いが刻まれる。無骨で真面目な万二郎は退屈なお勤めに疑問も抱かず登城のマラソンもいつも一番。平時の武士として見本のような男であった。一方、もう一人の主人公である蘭方医の手塚良庵は医師の家に生まれて大坂適塾で医師の門をくぐったエリートだが、江戸に戻っても放蕩ぶりが父の良仙に厳しく戒められるほどの遊び人。江戸っ子らしく間口は広いが封建的で権力闘争に終始する医学界には批判的であり、また人間らしく生きたいとする夢想家のノンポリとして時代を眺めている。対照的な万二郎と良庵だがなぜかウマが合う。
万二郎はアメリカ総領事タウンゼント・ハリスへ幕府側からの護衛として派遣され、友人となる通訳ヘンリー・ヒュースケンと出会う。一方良庵は幕府の西洋医学への寛容化から提案された種痘所開設に仙庵と共に尽力することになるのだが、西洋医学を嫌う御殿医達に様々な嫌がらせを受ける。やがて軍制改革により農兵隊の隊長となった万二郎は幕府への忠誠だけでなく、自分が本当に守りたいと思う人々との出会いにより銃を取り戊辰戦争の戦場の煙の中へ消えていく。
万次郎と情熱を傾けて語り合った西郷隆盛は彼が去った後で流れに逆らっても何にもならないと呟くが、傍観者だったはずの良庵は噛み付いてみせる。時代に合わせるだけが生き方ではないと。良庵自身も患者を守るために、自分の意志を抑えて運命を甘受して新政府軍の軍医となるが、明治に入り今度は政府に逆らって自滅の道を選ぶ西郷を討つための西南戦争に従軍する。無常な人生を回顧する良庵だが、あっけなく戦死する(実際には病死)。作者の手塚治虫が良庵は自分の曽祖父であったという言葉で物語が閉じられる。
Wikipediaより引用

久々に一気読み。
と言っても5日くらいに分けて読んだけど。
手塚治虫の祖先である、手塚良庵と友人伊武谷万二郎(架空の人物)を主軸に幕末を描く歴史ロマンなコミックである。
手塚治虫といえばやはり長編漫画であるが、この作品も圧巻の一言に尽きる。
これだけの物語を読ませる力は素晴らしく、内容もシリアスながらも楽しくエンターテイメントに富んだ作品である。
手塚良庵と伊武谷万二郎のかけ離れた性格の二人の友情と周辺の恋物語、漢方医と蘭方医との確執、幕末の中心人物との関わり、江戸と上方の風俗等様々なテーマが交錯し、読むものをその時代に惹き込んでしまう。

オススメ度☆☆☆☆☆

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プラネテス(幸村誠)


講談社

連載時から夢中で読んでいた。
モーニングで連載。2004年連載終了。

時代は2070年代(2075年以降)。人類は宇宙開発を進め、月面でのヘリウム3の採掘など、資源開発が商業規模で行われている。火星には実験居住施設もあり、木星・土星への有人探査計画も進んでいる。毎日、地上と宇宙とを結ぶ高々度旅客機は軌道上と宇宙とを往復し、宇宙ステーションや月面には多くの人たちが生活し、様々な仕事をしている。しかし、長い宇宙開発の歴史の影で生まれたスペースデブリ(宇宙空間のゴミ。廃棄された人工衛星や、ロケットの残骸など)は軌道上にあふれ、実際にたびたび旅客機と衝突事故を起こすなど、社会問題となっていた。
また、地上の貧困・紛争問題は未解決のままで、宇宙開発の恩恵は、先進各国の独占状態にある。このため貧困による僻みや思想的な理由付けによるテロの問題も、また未解決である。
主人公のハチマキは宇宙で働くサラリーマン。主な仕事は宇宙のゴミ「デブリ」の回収作業。いつか自分個人の宇宙船を所有することを夢みている。ゴミ拾いは大事な仕事だと自分を納得させつつ、当初の夢と現実の狭間でこのまま現実を受け入れるか、それとも夢を追い求めるか思い悩む。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

最近では同じモーニングで人気の「宇宙兄弟」みたく、近未来宇宙開発もの漫画。
凄い好きな作品で数十回読み直している。全四巻。
圧倒的とも言えるディテールを軸にしながら、非常に高いストーリー性とドラマ性で読むものを世界に浸らせる。
「作画」「物語」「キャラ」全てが高水準で、特に「キャラ」の作り方は最高で魅力有る登場人物がストーリーを力強く押し進める。
2070年代の話だが、地球に戻れば畳にトンカツ、阪神の話題も出てくる。時代は進んでも生活スタイルは大きくは変わらない、という設定もリアリティがある。

アニメにもなり、マニアには人気が高いが、一般的にはそれほどメジャーではないのかも。そこが非常に惜しい。
宇宙のゴミ、スペースデブリの問題を描いており、時代を考えると非常に先見性があったと思う。

読み応えの有る太鼓判の作品、とも言えるので興味ある人は是非♪

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ドラゴンヘッド(望月峯太郎)


もう10年くらい前の作品だが、大好きな漫画だ。
映画化もされ、見たがこっちは「超」がつく位の駄作(>_<;)

修学旅行の帰途、突如発生した大地震により、主人公青木輝らの乗車していた新幹線は浜松付近のトンネルで凄惨な脱線事故を起こしてしまう。出入り口は崩壊し、外界と完全に遮断されたトンネル内で、三人の生存者、輝、瀬戸憧子、高橋ノブオは救助の可能性に一縷の望みをかけて絶望的な状況を生きのびる術を模索するが…。死と表裏一体の極限状態に追い込まれた人間の苦悩とそれに伴う狂気と暴力。世紀末の様相と呈する世界を舞台に人間の本質と「究極の恐怖」を圧倒的な世界観と緻密な描写で描いた作品。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

先の読めない展開と、圧倒的な恐怖、時にラフで時に緻密な描写、、、何度読んでも楽しめる名作だ。
視点が俯瞰的でないことが、一層の恐怖を感じさせる。恐怖とは「理解出来ない」ことであることを痛感する。
何度読んでも「ああ、この恐怖は楳図かずおだな」と思ってしまう。楳図作品の恐怖も一部の恐怖漫画ではなく、ストーリーものの場合、このような手法を取ることが多い。作者はきっと楳図ファンだろうと、勝手に思ってしまう。望月峯太郎作品でコワいのはやはり「座敷女」であろうが、全10巻のドラゴンヘッドも、読み応えたっぷりの恐怖を味あわせてくれる。

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GANTZ(奥浩哉)


『GANTZ』(ガンツ)は奥浩哉による漫画作品。また、それを原作としたアニメ、ゲーム作品、それら作中に登場する黒い球体の呼称。
漫画雑誌『週刊ヤングジャンプ』(集英社)において2000年31号から連載を開始し、2008年現在、隔週で連載中。単行本は2008年10月で24巻まで刊行。累計発行部数は920万部を超える。
主人公玄野計は地下鉄のホームで小学生時代の親友加藤勝を見かける。正義感の強い加藤は線路上に落ちたホームレスを助けようとするが、助けに入った玄野と共に、進入してきた電車に轢かれ死んでしまう。
次の瞬間、彼らはマンションの一室にいた。そこには、同じ様に死んだはずの人々が集められていた。部屋の中央にある謎の大きな黒い球。彼らは、その「ガンツ」と呼ばれる球に、星人を「やっつける」ように指示され、別の場所へと転送されていく。
謎の物体「ガンツ」に集められた死んだはずの人々は理由もわからないまま、謎の星人と戦わなくてはいけない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヤンジャンで連載開始から読んでいる。
速攻ハマったが、この面白さを人に伝えるのは非常に困難だ。
「夜中に集まって地球に潜んでいる宇宙人をやっつけて点数を稼ぐ漫画」と説明したところで、この漫画の面白さの100分の1も伝えられない。
そして、実際読んだ人間の良識が強いほど、内容に嫌悪感を示す確率も高い。
エロ描写や残酷な描写も多く出てくる。
しかし、その圧倒的な画力とエンターテイメント、予測不能な展開にどうにも抗う事が出来ない。
現在24巻で、物語は終末に向かっている気配がある。いったいどんな結末になるのだろうか。

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火の鳥 黎明編


手塚治虫
角川文庫

言わずと知れた手塚治虫の代表作。

ストーリー
3世紀の日本。ヤマタイ国とクマソ国の争いを舞台に、ヒナクとナギの姉弟、ヒナクと結ばれるヤマタイの間者グズリ、防人の猿田彦たちの数奇な運命を描く。ヤマタイ国がクマソを攻略した裏には、老いた卑弥呼が火の鳥の生き血を欲していたという事情があった。大和朝廷の成立については江上波夫の騎馬民族説を採用している(本作品執筆時には話題になった説だが、現在ではほぼ否定されている。作品中でも邪馬台国と大和朝廷の風俗が似通っているなど、矛盾した描写も見られる)。

Wikipediaより引用

手塚マンガで一つだけ選べと言われたら、あなたはどの作品を選ぶだろうか。
一番の著名作は「鉄腕アトム」「ブラックジャック」であろうが、やはり手塚作品といえば、長編マンガだろう。

「火の鳥」
「ブッダ」
「陽だまりの樹」
「アドルフに告ぐ」
「きりひと讃歌」

この辺りで拮抗するが、やはり個人的にはこの「火の鳥」が一番だと思っている。

この「黎明編」は自分のまだ生まれる前の作品だけあって、絵柄も古さを感じる。
しかし、柔らかなタッチは大きな影響を受けているディズニーを感じさせ、また斬新な駒割りや、舞台を意識した展開、等等オリジナリティ溢れる作品だ。

何よりストーリーが圧倒的である。
ここでシノゴ言っても始まらないくらい壮大で感動的だ。
手塚マンガを読む方は解ると思うが、決してハッピーな展開だけではない。
目を覆いたくなるような悲劇が容赦なく描かれる。
暗いと言っても過言ではない。
しかし、その悲劇が壮大な物語のコントラストになり、作品に大きな深みを刻んでいる。

もし読んでない、という人は・・・

死ぬまでに読んどけ


という作品であることは間違いない。

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